子どもに教えるコツ~楷書の基本1

土屋彩明
(新潟県見附市)

日に日に暖かくなってきて、書道教室も卒業や進級を機に顔ぶれが変わる時期ですね。
この機会に、一度「楷書の基本ルール」について触れたいと思います。

まず、原則としてはこんなルールがあります。

楷書の基本



これは基本中の基本ですね。
毛筆でも硬筆でも、横棒は普通全て右上がりに書きます。右手で筆を持つと水平よりも少し右上がりの方が書きやすく、自然に書けるためこうなったのでしょう。
逆に、左利きで左手に筆記具を持つ人が普通に書くと中々こうはならないので、「右上がりになるように気をつけて書きましょう」などと声掛けをした方が分かりやすいしれません。

楷書の基本


これもよく出てくる基本ルールです。
特に「曲がり角の前の横棒」は他の横棒より更に細め、「曲がり角を曲がった後のタテ棒」は他のタテ棒より更に太めに書くのがコツです。

ちなみになぜ横棒を細く、タテ棒を太く書くかというと、これは漢字の成り立ちに関係しています。

漢字は縦書きの文化なので、視線の移動が上から下へという「タテ方向」になります。この視線移動の際に目に引っかかるよう「横棒の本数」で識別する方向に文字が進化したため、縦棒よりも横棒の本数が多い漢字が多いのです。なのでこの本数の多い横棒をかさばらないよう細めに、横棒を束ねてまとめる役割の縦棒を太めに書くと読みやすいのですね。

楷書の基本


「口」「中」など「下にすぼまる四角」を書く時は、左右のタテ棒のうち左側を少し斜めに、右側をそれより更に斜めになるように書きます。行書だともっと角度に差が付くので分かりやすいのですが、楷書では言われないと気付かない子も多いようです。

楷書はこうして言葉で説明できるルールも多いので、なるべく解説して「お手本がない時でも自分の判断で自信を持って書ける」子を育てていきたいですね。