十勝・帯広 翠邦浴 vol.3 真鍋庭園:「真正閣」~大正天皇の御便殿~

千葉豊翠
蒼庭子書院(北海道帯広市)

今年もあっという間に新年度4月。

帯広も先月下旬からの気温の上昇で一気に雪解けが進み、交差点に積み上げられていた除雪の雪山も見る間に小さくなり運転が楽になりました。

これから花の季節ですが、花といえば、「北海道ガーデン街道」が有名です。帯広にはその中で最も歴史の古い真鍋庭園があります。1966年から一般公開され、日本庭園・西洋風庭園・風景式庭園で構成される敷地面積は2万5千坪に及びます。この広大な庭園が、帯広市内にあると言うのも他のガーデンにない魅力です。

ここの日本庭園に武家屋敷風の建物「真正閣」があります。(園内マップ②)。明治44年、当時の皇太子(大正天皇)の休憩所「御便殿」として帯広市内に建築され、昭和37年に解体されたときに眞鍋家の二代目正明氏が買い取り昭和43年に園内に移築されました。そしてこの建物は正明氏の名にちなんで「真正閣」と命名されました。

この建物の正面に桑原翠邦先生が書かれた「真正閣」があります。書かれた時期ははっきりとはわかりませんが、おそらく移築された年の前後、翠邦先生60歳前半の作品と推測されます。孔子廟堂碑風の書風はどっしりとしていながら温かみの感じられる、とても翠邦先生らしい作品です。

帯広市真鍋庭園真正閣桑原翠邦書肉筆
真正閣(肉筆)桑原翠邦 書


今回は特別に四代目眞鍋憲太郎社長のご厚意で翠邦先生の肉筆も拝見させていただきました。
実物はまたいい!☺

帯広市真鍋庭園真正閣桑原翠邦書肉筆
真正閣(木彫り)桑原翠邦 書


見どころ満載の真正閣の内部は、現在残念ながら一般公開されていません。
その理由は・・・・
次回お話しします(^-^)

※今までご案内した作品の所在地はこちらのマップで確認できます。