比田井南谷と上田桑鳩~猛暑の中、自宅で読むおすすめ本~

千葉豊翠
蒼庭子書院(北海道帯広市)

猛暑の中外出は”危険!”

最近はこの暑さが秋まで続きますね。

自ずと自宅で過ごす時間が増えます。

そんな時おすすめの本を2冊ご紹介します。

高橋進著「比田井南谷」と上田桑鳩書論集「書を愛する人へ」です。共に天来書院から出版されています。


比田井南谷も上田桑鳩も比田井天来の流れをくむ大家であり、古典臨書を徹底的に研究されそこから前衛書に取り組まれた共通の経緯があります。

とかく私たちは「古典臨書の実践」という中で「前衛書」に対して距離を感じていると思いますが、私はこの2冊を読むことで「書とは何か」ということについて首肯・共鳴し、そして古典臨書の何たるかを自分なりに少しずつ理解ができた気がします。

「比田井南谷」はその序にあるとおり、『「線の芸術」を探求し、挑戦し、実験を重ねた』その客観的な経緯が書かれています。ただ、その経緯には南谷の考え方が細かく記述され読み応えのある本です。

特にこの本を読んで感じたことは、答えのないものにたいして答えを見つけようとする研究・実験の方法の凄さです。

ここから、浅学の私などには普段の勉強や研究の態度がどうあるべきか、ということを改めて考える良い機会になりました。

「書を愛する人へ」は先に「あとがき」から読み始めることをお勧めします。

かなりのボリュームがありますが一話一話はそれほど長くはありません。

ただメッセージ性が強いので読取る側も気持ちが元気でなくては受け止めきれないかも・・・

どちらも時間をおいて何度か読み返すと、理解がまた変わったりもする大変楽しい本です。

是非ご一読を😊

そして二読、三読・・・