感情表現

ペンネーム ひろ

先日、テレビに現役最高齢のピアニスト、99歳の室井摩耶子さんが出演していて、「エリーゼのために」をただ単に弾くのと、気持ちを込めて弾くのとの比較を聴かせて下さいました。

その違いに感動しました。
ピアノ演奏は、詩、小説であり、戯曲なのだそうです。

また、朝ドラ「エール」の主人公の妻が歌手を目指して音楽学校に通う中、記念公演「椿姫」の主役選考があり、到底勝てぬライバルに勝つという場面がありました。
何故選ばれたのか、それは身近な人に起きた男女の恋愛の機微を知ったからでした。選考の場で、情感豊かに歌い上げたのです。

感情移入の書というと、顔真卿の「祭姪文稿」が真っ先に浮かびます。段々と感情が溢れ出ていく率意の書です。

書にも多様な表現がありますが、やみくもに感情を出しても、場合によっては、うるさく騒がしいだけの書になってしまいます。

大家の作品には、共通して、情緒豊かな中に静けさが存在します。

感性を養い、技巧も身に付け、その時々の瞬間に書で表現する。

観(見)て、聞いて、読んで、書いて、いろいろな経験を積み重ねて、自分自身の感情を紙面に表すことが出来るのではないかと思います。

結局、何事も日々精進ということになるのでしょうか。

凡庸な私は、躓き転び、尻餅をつき、息切れしながら、人生と伴に、書の道を歩んでいきそうです。

「STAY HOME」、テレビを見ていて感じたことでした。