書と料紙

イニシャルO

緊急事態宣言も解除され、6月から学校も少しずつ始まりました。すぐそばの小学校のから聞こえる久し振りのチャイムに、日常が戻りつつあることを感じました。

県を跨ぐ移動も解除され、先日「日本の書200人選」に。日本を代表する先生方の素晴らしい作品に触れ、目の保養をしてまいりました。

入口付近に置いてあった小冊子を家に帰ってから眺めていると、桑田笹舟先生の「ゆふもや」が目に飛び込んできました。「かなの書と日本の自然との調和」という小題がついたページにあった作品は、成田山書道美術館で足を止めて見入ったものでした。

右端に長く垂れる柳の枝。その奥には大きな半月の月。書かれている書は絵と相まって一体化しています。私が行った時間には来館者も少なく、ゆっくり鑑賞した記憶があります。感銘を受けた作品は折に触れて目にしたいと思っているので、写真や図録を求めようとしましたが無いということでした。ですから、この小冊子に「ゆふもや」が掲載されていたことがとても嬉しく、手元に置いて置かねば…と思いました。

東京2020オリンピック・パラリンピック記念書展実行委員会発行書道展の楽しみ方 11p「ゆふもや」掲載
東京2020オリンピック・パラリンピック記念書展実行委員会 発行
書道展の楽しみ方 11p「ゆふもや」掲載

桑田先生の「日月」も目を奪われた作品の一つです。六曲屏風の上部三分の一ほどに書を、その下に大きくうねる波が描かれています。特に、「あさ日」の「日」を丸い太陽で表したのは、語彙力のない私には今でも「凄い」という言葉しか出てきません。自ら製作した料紙だからこそできる表現で、書道雑誌の中の写真でしか見ていないこの作品を、いつか肉眼で見てみたいです。

料紙を手掛けることはなかなか難しいですが、書と料紙がマッチするような作品作りを目標の一つに筆を持とうと思います。