全書芸展にむけて

古谷春峰

貸し額の対応について

全書芸展の作品制作に熱心に取り組んでいる時期かと思います。
毎年全書芸展を見て感じることがあります。それは、せっかく立派な額を借りて表装しているのに、額に程良く収まっていない作品が多いということです。大作はかなり本紙を切り落とさないと額のマットが出ず、パネルのようになってしまいます。(額いっぱいに書きたい方は別ですが。)

額のマットの色が程良く出て、品よく収まる本紙の大きさを提示しますので参考にして下さい。
※ただし、半切、聯落、全紙は切り落とす必要はありません。(そのまま書いてください。)

額に程良い紙の大きさサイズ

例)3×6尺の紙を使用して作品を制作する場合 ⇒ 長辺・短辺ともに約20㎝切り取り、70×160㎝にする

古谷春峰先生書篆書

本紙を切り落とさず額に収めるとフレームだけとなります。フレームの巾は、約3㎝(四方)あるので、その分カットされることになります。本紙いっぱいにギリギリに書くと文字や落款にフレームがかかってしまう恐れがあるので注意しましょう。

古谷春峰先生書篆書

本紙を程良く切り落とすと、画像の///部分のマットの色が出て体制良く収まり作品に締りも出てきます。
(図の作品は小作の40年前の作品です。いったい何歳の時だ?)

その他のアドバイス
〇書いた文字部分が破れた場合は、テープなど貼らずにそのままにする。
(表装時に埋める為、同じ紙の墨の部分を入れておくとよい。)
〇印の部分の汚れを防ぐために、反故紙などをあてて折りたたむ。
(印の汚れが目立つ作品が多いです。)

本紙を程良い大きさにカットするのは大変ですが、自分の作品をより見映え良くする為のものですので、労を惜しまないで下さい。紙は高価なものですから、切り落とした部分は保管して、下書きや書稿などに使うと良いと思います。(小生はそのようにしています。)

皆様の力作を楽しみにしています。

協力・・・東洋額装(株) 藤井英樹 氏