一本あり!剣道が教えてくれた書に通じる道

牽洋

小学3年から中学3年まで7年間続けた剣道が
「道」のつく習い事の始まりでした。

剣道を始めた動機は、強くさせるため。(←女ですが……汗)
小学1年生の時からクラスの男の子とよくケンカをして帰ってくる私をみて、母が強くさせなきゃと思ったらしく週2日防具を担いで1km先の稽古場に通うことになりました。

夏は、汗で蒸れて顔面水ぶくれができ肌はボコボコ。
冬は、冷た過ぎる体育館の床を素足ですり足。毎回冷た〜っと震えながら寒さと闘いの稽古でした。体育館の床のキョーレツな冷たさは今でも自分の素足が鮮明に覚えています。喉元過ぎれば熱さ忘れる!?いや、忘れない。

常に足の裏の皮は剥け、テーピングで保護。と痛めつけてきたカラダですが、それでも続けてこれたのは、剣道の凛とした空気感に惹かれ、強くなりたい!の思いと少しずつ強くなってきている実感があったからなのでしょう。

中学生になると、選択授業で剣道を選んだクラスメイトに、防具の独特の匂いにくっさー!とからかわれ、(←自分の防具は汗の匂いも愛着と化してます笑)剣道部女子はモテない人生か……と割り切って、強くなることだけに集中。

お陰様で、女部長になり、パンチパーマの強面な顧問にたっぷりとしごいていただきました♡

そんな汗水たらした思い出の小さな部室を思い出すと、「心・技・体」の文字が書かれた扁額が飾ってありました。

剣道では
○礼に始まり礼に終わる
○防具(お道具)を大切に扱う心…防具は定期的に陰干ししたり、竹刀にヤスリをかけたり
○技が決まるよう練習を積み重ね、暑くても寒くても立ち向かう精神力

が稽古で身につきました。


書道でも
○挨拶に始まり、挨拶で終わります
○筆や硯など書くためのお道具のお手入れがあり
○お手本のような字に少しでも近づきたいと古典・古筆から筆遣いを学び、紙の上で表現する

道がつく習い事は時間をかけて
己と向き合うことができる稽古事だなぁと感じます。

書道においても心・技・体がなければ
書き続けることは難しい…
床で条幅を書くには足腰丈夫でないと!ですよね。

剣道では、審判の「一本あり!」と自分の旗が上がった時の快感は格別。どの技で「一本!」を決めるか毎回ゾクゾクっとしていた記憶が蘇ってきます。

あれから20年以上の月日が流れ、
今は、「一本!」の線にこだわった芸術の虜に。

書の奥深さを知りたい!の自分の想いにこれから長い年月をかけて応えていきたいと思います。

2022年の新年を迎えて……

中学生の時に描いた愛着ある防具を見るとグッっと自然と目に力が入ります。

一本あり!剣道が教えてくれた書と通じる道牽洋
面 23.5×35cm アクリル版画 1995年