思い出

ペンネーム悪筆子

市ヶ谷での二日間の講習会に参加したのは十年以上前の初夏のことだったと記憶する。ホールのように広い会場いっぱいの受講生の中に知る人は一人もなく緊張は極度に高まり熱気と周りの人々の貪欲なまでの書の上達への闘志に圧倒された。
そんな中彼方の壇上の講師の先生方の講義からは一人でも多くの人に書の楽しさを伝え上達してほしいという願いがひしひしと伝わってきた。
その講師陣の中にかつてカルチャーセンターで習った先生の姿があった。いつも恐かった先生は、その日も言葉少なく手短に説明されていたが、いつもより大人しい感じがした。またかつて師に習っていた時なかなか上達せず苦労し辛かったと話され、今まで全く知らなかった先生の一面を垣間見る思いがした。
家庭の雑事を離れ一人東京に通った二日間はとても充実し、新鮮な空気を日々の生活にもたらしてくれた。
会場裏の神楽坂の雰囲気もなんとなく感じられちょっとした旅行気分も味わえた。
 
最近の講習会は細々としてしまったようすが誌上の報告からうかがえる。その月刊誌も薄くなってしまった。SNSや独特なBGMが印象的な動画の毎月の課題説明など健闘されているが、本当に人口も書道人口も減ってしまったと改めて感じる懐かしい思い出のひとこまである。

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