隷書(乙瑛碑)を学ぶ【一】

古谷春峰

昇段級試験の作品制作もいよいよ大詰めの時期となりました。
隷書の苦手な方が多いようですので、2回にわたり“乙瑛碑”対策に関することを記していきます。

<隷書の基本>

  1. 隷書の特色
    ・横画は水平に、縦画は垂直に。(横平豎直 おうへいじゅちょく)
    ・字形は扁平。
    ・一字一波(一字に波磔は一箇のみ)
    ※八分隷と呼ぶ
    ・起筆はすべての点画で逆筆。
    ・分間布白が厳密。
  1. 隷書の基本用筆
    ・横画・・・右から左へ運び、穂先を包み(蔵鋒)右へ戻る。
    収筆は止めたり押さえたりせず、そのまま抜き上げる。
    ・縦画・・・下から上に突き上げ、穂先を包み込んで折り返す。
    (収筆、横画と同様)
    ・転折・・・横画から縦画をいったん離してから書く。(楷書のようにならないこと)
    ・波磔・・・弧を描くようにゆっくり右斜め上に払い出す。
    ・左払い、はね・・・強く押し出して止める(丸める)
    隷書には、楷書のような“はね”がない。
    ・点・・・すべて逆筆で書く。
    ・波勢・・・隷書のすべての筆画には、波勢が働く。
    波のようなうねる勢いのこと。
    筆が逆に入る為、ねじれ(弾力)が生じ、元に戻ろうとする筆勢のこと。

古谷春峰隷書(乙瑛碑)を学ぶ隷書の基本用筆
古谷春峰隷書(乙瑛碑)を学ぶ隷書の基本用筆
古谷春峰隷書(乙瑛碑)を学ぶ隷書の基本用筆


次回は、乙瑛碑の具体的なポイントを発信したいと思います。