昔の人

ペンネーム悪筆子

字にはその人の人となりが表れるという。お寺の掲示板の字は哲学的で個性的なことが多く好きである。
以前小学校の美術展で見た特別支援学級の子供達の伸び伸びした字にはうまく書くという意識がなくただ先生に言われたように一生懸命に書いているようすが窺われ好感を持った。
身内では小学校の時から習字を習っていた兄弟の字はお手本のように本当にきれいな字で羨ましかった。
勢いと力のある理知的な線の父や祖母の字も好きだった。二人ともお習字は学校の手習い程度だったと聞いた覚えがある。

郷土館で展示される昔の人の手紙や古文書は事務的な日常の書だが、どれも達筆できれいな字である。昔は和紙に毛筆で書くしかなかったので習字は身近な生活の手段のひとつにすぎない面もあった。
着物の着付けも洋装の無い時代は当たり前の誰でもしていることだった。

昔の当たり前のことが様式化されお稽古事になることにより、近寄り難いものになってしまった面もある。

ともあれ書道や着付けを習っていると、ふと昔の人の生活に根差した文化の深さや奥床しさに触れることがあり、静かで深い感動を味わうことができる。



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