臨書こそ最強のクリエイティブ学習~書道の土台とブックレビュー
牽洋
娘が昨年通っていた幼稚園では、読書家の園長先生が、 月に2回、ニュースレターを届けてくれていました。
初めての子育ての中で、 「子どもの成長をどう見つめ、どう育てるか」 その視点を言葉にしてくれる園長先生からのレターが楽しみで、実際に取り寄せた本に興味が湧き取り寄せたので紹介させていただきます。

『クリエイティブの授業』が教えてくれた「似たものを見つける力」
レター2025/6/25号のテーマは 「知力とは、似たものを見つける力」。
冒頭で紹介されていたのが、 オースティン・クレオン著『クリエイティブの授業』(実務教育出版)でした。
コピーとは?
オリジナルとは?
創造とは?
まねとは?
芸術とは?
著名な芸術家が、若きアーティストたちに向けて書かれたアドバイス集です。
その文章を読んだ時、一番に感じたのは
「書道には、“臨書”という最強の学びがある」ということ。
書道の学びの土台「臨書」は、世界に誇れるクリエイティブ教育
書道には、古典・古筆を写す「臨書」という文化があります。
臨書は、ただの模倣ではなく
- 本物を鑑賞する目が育つ
- 先人の思考や息づかいを感じる
- 自分の中に“美のセンス”が積み重なる
臨書は、探究心と創造性を同時に育てる、日本が誇る学びの型。
全書芸誌をめくると、 漢字には「古碑法帖研究」、 かなには「古筆の研究」という場が用意され、
私たちは毎月、誌面を通して古典の英知に触れて、 “研究者であり表現者であり続ける”ための土台を得ています。
「真似し続ける=学び続ける」
大人も子どもも、「似たものを見つけ、表現する力」は人生を飛躍させる!と書歴15年が経過した今、しみじみと感じています。臨書は、ただ書く練習ではなく、 未来の自分に出会うための旅。
■ ここからは、私の“読書ノート”
『クリエイティブの授業』から心に残った言葉と、書道への気づきをメモしました。
以下①~⑩は、各章のタイトルと、 私が心に留めたメッセージです。自分自身への備忘録も兼ねてちょっと長いですが、お付き合いいただけたら嬉しいです。
①STEAL LIKE AN ARTIST アーティストのように盗め!
- 昔の僕へ:人はアドバイスをするとき、過去の自分に語りかけているんだと。
- ”オリジナルなんてないんだ”:創作作品には必ずベースがある。
→ 書道も同じ。古典という“源泉”があるからこそ創造が生まれる。 - アイデアの系図:今までのアイデアの組み合わせや組み替えでできている。人間は自分の愛するものによって形作られている。
- ゴミはゴミしかつくられない:君のまわりに何があるかで、君の限界が決まる。
→だから、筆を持つ以外にも興味をもって幅広い世界に触れると作品が磨かれるのか。 - 自分の系図をたどる:君が心から敬愛する人、1人だけをじっくりと噛みしめよう。徹底的に研究する。
→自分が好きな一つの古典を決めて書き込む大切さはこれか。 - 自分を教育する:自分を教育するのはいつだって自分の責任なんだ。自分の住む世界に興味をもつ。物事を調べる。…そうしてこそ、君は前進できる。
→今、自分が感じている興味のあることにまず気づく。 - 盗ったものはとっておく:どこにでもノートとペンを持ち歩こう。
→”紙と筆”を持ち歩こう!
。
②DON’T WAIT UNTIL you KNOW WHO you ARE TO GET STARTED. 自分探しは後回し
- モノをつくって自分を知る:準備はもういい。すぐに創作を始めよう。
→一歩踏み出すのが怖いが、手を動かすと見えてくる世界がある。 - できるまではできるフリ:なりたい自分になれるまで、そのフリをしろ。何かを作れるようになるまで、作っているフリをしろ。この世はすべて舞台だ。
→自分のしたい仕事をするのが大切。 書きたい字を書く“フリ”から始めてもいい。 - コピーする:私たちは文字をなぞって書き方を覚えた。まずは、コピーする相手を見つけることだ。見つかったら、次はコピーする作品だ。一言でいうなら君の”ヒーロー”だ。スタイルの奥にある”考え方”を盗もう。大切なのは、その人の世界観を自分の一部にすること。
→臨書にも、字形や用筆を学ぶ「形臨(けいりん)」、意図や雰囲気を学ぶ「意臨 (いりん)」、手本を見ずに書風を自分に取り入れる「背臨 (はいりん)」という深い学びがある。これこそ、書道の醍醐味。 - ものまねを超える:君にしか加えられない何かを加え、自分だけのものに変える。
→良い盗み方は、音楽でいうならREMIXリミックス。
③WRITE THE BOOK you WANT TO READ 自分の読みたい本を書こう
- 好きなことを書く:僕たちがある作品に惹かれるのは、その作者に刺激を受けるからだ。ひとつの作品が好きになると、もっとほしくなる。続きが知りたくなる。その欲求を創作のエネルギーに変えればいい。一つのアイデア「一」から無限∞のアイデア「〇」になる。
→自分の美しいと心震えた線を引けるよう努力。好きな線、心震える線を追い求める。自分が使いたい作品を、自分で生み出す。
④USE YOUR HANDS. 手を使おう
- パソコンから離れる:動かなきゃだめだ。頭だけじゃなく、身体で何かを作っている感覚を得るために。まずは形だけでも身体を動かしてみれば、脳にエンジンがかかり、思考も冴えわたりはじめる。
→パソコンから離れ、筆を持つ!アナログの空間は、創造の遊びの場。
⑤SIDE PROJECTS AND HOBBIES ARE IMPORTANT. 本業以外も大切に
- “ぐずぐず”をエネルギーに変える:今まで気ままにやっていると思っていたこと、単なる遊びでやっていると思っていたこと。本当に大切なのはそっちだ。心をとぎすます唯一の方法は、仕事をしないことだ。
→ぼーっとする時間を作ろう。散歩の時間が作品を育てる。 - 自分を切り捨てない:楽しみはすべて人生に残しておこう。それぞれを相互作用させるんだ。すると、何かが起きはじめる。趣味は、自分だけのためのクリエイティブな活動だ。
→興味あることが、化学反応を起こしていく瞬間が楽しみ。
⑥THE SECRET:DO GOOD WORK AND SHARE IT WITH PEOPLE. いいものつくって、みんなと共有(シェア)
- はじめは無名がいい:無名ならプレッシャーもない。やりたい放題だ。楽しみのためだけに。
→無名って自由で最高じゃん! - あたりまえの法則:「インターネットをうまく使うコツは?」ステップ①フシギを見つける。ステップ②みんなとフシギを共有する。誰もフシギと思っていなかったものに、フシギを見つけるんだ。仕事をオープンにして、みんなを招けば、相手から学べる。僕は道に迷ったら、自分のWebサイトを見てこう考えるようにしている。「この入れ物に何を満たせるだろう」って。君の仕事をちょとだけ共有する。何を共有すれば、相手の役に立つかを考えてみよう。タネを明かすのが不安なら、”点”だけを共有すればいい。
→自分が思うフシギ探しの旅。私もブログで点のような気づきを発信していきたい。
⑦GEOGRAPHY IS NO LONGER OUR MASTER. 場所にこだわらない
- 自分の世界をつくる:僕は本、ペン、ノートをいつも持ち歩いている。孤独と一時的な束縛を楽しむためにね。
→ひとりの孤独時間を作ると未来から自分のやりたいことがやってきてくれそうだ。 - 家を出る:旅は世界観を変える。世界が新しく見えると、脳が活発に動きはじめる。おっと、それから食事も大事だ。食べ物は美味しくないとね。発想がわき、仲間がいて、心がうるおい、いい文章がかける__そんな店を見つけよう。
→距離と発想力が比例。旅は、書の線にも変化をもたらしてくれそうだ。
⑧BE NICE.(THE WORLD IS A SMALL TOWN.)他人には親切に(世界は小さな町だ)
- 友をつくって敵は無視:確かな法則が1つだけある。人には親切にせよ、ということだ。
→褒めること。 - 天才の隣に立つ:君の限界は、君のまわりにいる人間によって決まる。
→観察 - ケンカしてるヒマがあるなら、何か作りなさい:僕は怒りのパワーを文章や絵に向けるようにしている。
→怒りは、想像力の源にもなっている。 - ファンレターを書く:僕がオススメするのは、”公開ファンレター”だ。
→ブックレビューも著書への公開ファンレターに。 - 評価を求めない:不思議なことに、すばらしい作品ほどいとも簡単に見えることが多い。
→評価を気にするヒマがないくらい仕事をする。 - ”褒められ帳”をつける:僕は嬉しいメールを受け取ったら、特別なフォルダーに保存している。
→自分のモチベーションアップのアイテムを作っておこう
⑨BE BORING(IT’S THE ONLY WAY TO GET WORK DONE.)平凡に生きよう(仕事がはかどる唯一の道だ)
- 自分をいたわる:創作にはエネルギがいる。
→ゆっくり自分を燃やしていくために、睡眠・食事・軽い運動 - 定職をもつ:定職があると、もう一人の人間になれる。定職のいちばんのデメリットは、時間を奪われることだ。でもその代わりに日課ができる。
→自分のリズムを追及する。 - カレンダーを買ってくる:「1日1ページ」というといたいしたことには思えないけれど、それを365日続ければ、立派な小説になる。
- ログブックをつける:君の船がどれくらい航海してきたかを記録するんだ。
- いい相手と結ばれる:ずっと家にいたいと思わせてくれるのは、いいパートナーの証だ。
⑩CREATIVITY IS SUBTRACTION. 想像力は引き算だ
- 捨てるものを決める:情報過多な現代社会で成功するのは、どんな人だろうか?それは、何を捨てるかを見極め、自分にとって本当に大事なものだけに集中できる人だろう。創造力のスランプを乗り越える簡単な方法がある__自分に制約を課すことだ。適度な制約は、時として最高の仕事につながる。
→捨てる。手放す。そぎ落とす。何を捨てるか。制約が最高の作品を生む。
WHAT NOW?さぁ、何をしよう?
で締めくくられている。
さぁ、古典・古筆の奥深さに触れながら「臨書」から再出発しよう!
私は何をする?何を深める?好きな古典は?好きな古筆は?書の何に触れる?
年代関係なく楽しむことのできる書道。
臨書という旅は、まだまだ続きます。
未来へ運ぶ、今、この一筆に気持ちを委ねてみたい。

