三大看板

イニシャルO

随分昔のことです。国語の教員免許を取ろうと文学部国文学科に入学した私は、入学後に書道の教員免許も取れることを知りました。教育学部ではないので、教員免許を取るための教育学に関する授業のほか、本来の国文学科の単位と合わせ必要単位が多かったので、1~3年生までは平日と土曜日の空き時間のない時間割を何とかこなしていました。

何の授業だったか、おそらく『楷書』か『草書』の時間だったと思います。

先生が『三大看板』についてお話されました。

一つは洋画家であり書家であった、中村不折の揮毫の『中村屋』。カレーも有名ですね。

もうひとつは最近はあまり目にすることもありませんが、『出光』この筆文字は創業者の出光佐三氏の直筆だそうです。

『出光』の筆文字は確かに素敵だな…とそれから気に留めるようになりました。

あと一つ、

それがすっぽりと抜けてしまっているのです。一縷の望みをかけて、ひとつ上の同じ学部で書道も履修して国文学科を首席で卒業した先輩に聞いてみましたが、「その話は聞いたことがない」と。

以後すっきりしない思いを抱きながらこのことを忘れたり思い出したりしています。あと一つは自分が素晴らしいと思う看板を探したらいいと思い、気にはしていますがまだこれというものが見つかっていません。京都をバスツアーで廻ったとき、清水寺に入る前で渋滞となり、歩いていたら目に留めることもないであろうお店の看板が目に入ってきました。どれもしゃれていて素敵な筆文字でしたが、残りの一つにするとなると、もっとたくさんの看板を見て吟味したい気持ちもあり、選ぶことはできませんでした。

皆さんの素敵と思う看板はどんなものでしょうか。ぜひ教えてください。